ぶどう畑の観察講座のご案内

ぶどう畑を観察できるようになる
 ブルゴーニュ コート・ド・ニュイの散歩講座 2つの基礎コース

・土地、気候、歴史の基礎コース・ピノ・ノワールとぶどう畑の仕事の基礎コースぶどう畑で仕事をしている時、地図を手に歩く多くの人に出会いました。仕事で滞在中のインポーターさん、お店の長期休暇を利用して旅行中のソムリエさん、研修旅行中のワインショップの店員さんグループ、ワインセミナーの講師さんなどなど、みなさん話しかけて下さいました。留学するほどは時間を割けないけれども、実際のぶどう畑から少しでも多くのことを知りたい、そう考えていらっしゃる方が多いと実感しています。ところが歩き始めてみると、ぶどう畑に対する前知識がなさすぎて、どこを見ればいいのかわからないという声をたくさん伺いました。ぶどう畑を歩くだけでは目に見えないことや、部分的にしか感じられないことがたくさんあります。たとえば、自分が立っている場所の土の下にある岩(その区画の母岩)の種類は土に埋まっているので見えませんし、平年とその日やその年の気温の差も比較資料が手元に無いとその瞬間の気温を感じるだけにとどまってしまいます。それらはブルゴーニュのワインを造るためのぶどう栽培にとって重要な要素です。だからこそ先に把握して、興味のある観点に対する観察方法を身につければ、たった1日のぶどう畑の散歩でも得られることが爆発的に増えます。この講座では、観察方法を何度でも確認できるようにレジュメをご用意していますし、なにせ!観察の練習台になるぶどう畑は笑っちゃうほどどこまでも続いています。一緒にぶどう畑を歩きに歩いて、観察しましょう。お会いできるのを、楽しみにしています。 

講座概要

午前中は室内で、豊富な資料とともにぶどう畑にかんする専門用語を理解し、午後はぶどう畑を歩きながら、「適切な用語を使ったぶどう畑の観察」を身につけます午前 座学・どのような観点があるか知る・それぞれの観点がどのように成り立っているのか、尺度の詳しい違いなどを地図や写真、ビデオ、図をまじえながら解説・その観点を、どの尺度を持ってどのように観察するのか整理する午後 実践・畑を歩きながら様々な区画について観点を見出し、適切な尺度観察できるようになる

ぶどう畑の観察は、ワインの試飲と同じ要領です

キーワードは、観点・尺度・観察例えば赤ワインの香りの中には、果物の香り、花の香り、スパイスの香りといった観点があり、果物の香りには、さくらんぼ、グロゼイユ、いちご、フランボワーズ・・といった尺度があります。その尺度を記憶し、自分の感覚を使ってワインの中にその香りを見つけるのが観察です。これらの観点や尺度は世界共通なので、翻訳すれば世界中のソムリエと赤ワインについて表現・理解できますよね。ぶどう樹や畑の観察についても全く同じことが言えます。的確な用語で観察し表現することで、記憶・記録・比較・分析・他者とのコミュニケーションが可能になります。また、このように基礎を作っておけば、新しい観点や尺度に出会った時に、簡単に自分の知識に取り込むことができます。ですから、この講座では適切な用語を使ってぶどう畑を観察できるようになるために、ぶどう畑にかんする専門用語の概念の理解に力を入れています。

受講対象者

・レストランやワインバーのソムリエ、インポーター・酒屋・問屋の各部門で働く方々、ワイン雑誌のライター、ワインスクールの講師など(このサイトでは上記のみなさんを、広義な意味でのソムリエと表記してます)・区画ごとの違いを、ワインの外観香り味わいを通して感じたことがあり、その違いに興味を持ち、実際にぶどう畑を歩いて観察・比較したいと思っているソムリエ・ブルゴーニュのワインに深い興味を持っているソムリエ 

受講後の効果

ぶどう樹やぶどう畑への理解が深まります・1億6000万年前からぶどう果粒の成熟まで、銀河系からぶどう樹の休眠芽の電子顕微鏡写真までなどなど、様々な規模と視点でぶどう畑の要素の理解を深めます・車も自転車も使わない本当の徒歩の散歩ですので、立ち止まりたいところで立ち止まり、気になる区画のぶどう樹や土に触れながら観察し理解を深めますぶどう畑を的確な用語を使って観察・表現することで、記憶・記録・比較・分析・他者とのコミュニケーションが可能になります・世界中のワイン産地のぶどう畑の特徴を観察・比較できるようになります(もちろんその産地ならではの要素については補足していく必要がありますが、その要素にどのような必然性や独自性があるのかなど、具体的・積極的に考えることができるようになります)・ワインの資料を読むときに、醸造方法や熟成にかんする情報と同じくらいぶどう畑にかんしてもしっかり読みこなせるようになります・ぶどう畑にかんする漠然とした疑問を、具体的な質問に組み立てられるようになります・生産者との会話で、ぶどう畑にかんする具体的な質問をし、答えを理解できるようになる。また、様々な生産者のぶどう畑に対する考え方の違いを理解できるようになりますそして、自身のワイン観にぶどう畑という要素が入ることで、今まで身につけた、そしてこれから身につける知識や経験をより多角的に捉えることができるようになります。

カリキュラムの内容

内容別に2つの基礎コースをご用意しています。1日で1コース受講することができます。それぞれの要素が関係しあってブルゴーニュのワインができているので、両方受講していただくのがオススメですが、もちろんご興味がある1コースの受講も可能です。

座学の内容

土地、気候、歴史をまとめた基礎コース

土地にかんする要素

コート・ド・ニュイのぶどう畑の基本の3層土壌とはなにかコート・ド・ニュイの形成にかんする3つの疑問母岩ができた時代大陸の動きとコート・ド・ニュイの地層3つの疑問と答えのまとめ母岩の種類、厚さ、堆積の時代と順番粘土 マルヌ 石灰岩 の関係コート・ド・ニュイの母岩の堆積主要6母岩を見分ける母岩から土壌ができるまで石灰岩の風化

気候にかんする要素

銀河系と太陽四季 – 太陽と地球 –夏至と冬至温めると冷めるのしくみ緯度の高さと昼の長さほかの産地との違い -大陸性気候の特徴-気候の比較 -ブルゴーニュ、ボルドー、ブロヴァンス、サヴォワ-ブルゴーニュの気候の特徴 -ほかの気候区分の影響-気温とぶどう樹の生長の関係生長段階と気候条件

歴史にかんする要素

ブルゴーニュ人はどこから来たかぶどう栽培のはじまりPinotの発見野生品種から栽培品種へDNA分析による西ヨーロッパのぶどう品種の親子関係新しい品種が生まれる仕組みガロ・ローマン時代のぶどう栽培とワイン醸造ぶどう畑を所有していたカトリックの修道会 -クリュニー会とシトー会-terroirテロワールの概念の発見とclimatsクリマ(小区画)の誕生品種の限定

ピノ・ノワールとぶどう畑の仕事をまとめた基礎コース

Pinot Noirにかんする要素

Pinot Noir à jus blancの特徴気温とぶどう樹の生長の関係生長段階ぶどう樹の器官品種とクローンの概念代表的なクローンの特徴Sélection Massale マッサル・選抜porte-greffe接ぎ木1本のぶどう樹の収穫量の決定要因まとめ

ぶどう畑での仕事にかんする要素

垣根仕立ての仕組みぶどうの生長サイクルとぶどう畑の仕事(約30種類の仕事の目的とタイミングをぶどう樹の性質の解説とともに見ていきます)収穫量はどのように決まるか密植度の法規

あらかじめ知っておいていただきたいこと

・カリキュラムへの新しい資料の導入や順序変更など内容変更の可能性があることをご了承ください。・この講座は、多くのぶどう畑を観察・比較することを目的としており、その畑の所有者が誰であるかを特定しておこなうものではありません。・どうしてシャンボール村で講座の散歩を行っているかというと、シャンボール村なら、コート・ド・ニュイのすべての特級畑の母岩を観察できるからです。この村の谷には南北を区切る大きな断層があり、ボンヌ・マールのある北側の丘はモレ村やジュヴレ村の母岩のグループを、ミュジニーのある南側の丘はヴージョ村、フラジェ村、ヴォーヌ村の母岩のグループを観察できます。また、それ以外にもこの村にはご案内したい地質学的に興味深い場所がありますので、お楽しみにしてください。地質に興味のない方にとっては、へー。といった感じかもしれません。笑・お申し込みの際に、ぶどう畑にかんする疑問をお書きください。お一人おひとりの受講者さまの持つ疑問に対して、単純に私が答えを用意できる場合と、考え方にの違いによって多くの答えが存在する場合があります。後者のような疑問をお持ちの場合は、受講後に多くの生産者や専門家に受講者さまが質問し、より多くの答えを理解できるようになるため、講座で用語の概念の理解や、その概念をぶどう畑で感じられるようサポートいたします。このように、すべての疑問がこの講座で解決するわけではないことをご了承ください。それでも、お申し込みの段階で受講者さまの頭の中で疑問が明らかになっていることで、講座への目的意識ははっきりするため、講座で得られることが格段に多くなります。ですので、お申し込みの際に、自分はぶどう畑のどんなことに疑問や興味を持っているのだろうと、漠然とした疑問であってもそれは大切ですから、ちょっと思いを巡らせてみることをオススメしております。

受講者さまの声

ソムリエ試験合格後、さらにブルゴーニュワインについて知りたいと思い職場の先輩に相談したところめぐみさんの講座を勧められ、店の休暇を利用して受講しました。畑に実際に行き、ぶどう樹を見ながら仕立てや栽培方法について教わりました。仕立ての名前は覚えていましたが、実物を見て、触ることで、理解が深まりました。これまで自分はぶどう畑へ行っても、見るべきポイントがわからず、ただ観光地のように、景色やそこにいることをたのしんだり、誰の畑かを見ていただけでした。今回この講座を受講し、ブルゴーニュでのぶどう栽培の決まりや方法、観察するポイントを教えていただくことで、区画によっての畑の状況の違いがすこしずつ見えるようになってきました。一回の剪定が持つ意味の重さ、その後数年、あるいはぶどう樹の一生を左右すると言っても過言ではないその判断、選択の積み重ねがヴィエイユヴィーニュを存在させていると思うと歴代の畑仕事職人さんたちに敬意が湧きました。これからいろいろなぶどう畑を訪ねて、観察して、生産者の方々と話し、それを自分のレストランにいらっしゃるお客様にワインを提供するときに紹介できたらと思います。限られた滞在日数だったため、レストラン予約のアドバイスはじめ、送迎の場所や時間など、融通を利かせてもらい、充実した時間を過ごすことができたこともありがたかったです。(20代男性 ソムリエ 東京在住)

講師プロフィール

フルニエめぐみ『ブルゴーニュ コート・ド・ニュイのぶどう畑散歩ガイドブック』運営『ぶどう畑を観察できるようになるブルゴーニュ コート・ド・ニュイの散歩講座』作成・講師2010年よりブルゴーニュ在住。東京で調理師、ワインショップでの販売、フランス料理のレストランのサービス、ワインセミナーの講師として働いた後、ブルゴーニュへ留学、コート・ド・ニュイの複数のドメーヌで就労。現在は特定のドメーヌとの社員契約はしていませんがぶどう畑や醸造の仕事を短期間手伝うことがあります。(詳しいプロフィールはこちらをご覧ください

資格とディプロム

日本 : 調理師(国家資格)、ソムリエ(日本ソムリエ協会 アドバイザーからの合流組です)フランス : Brevet Professionnel Agricole (CFPPA de Beaune)、Pratique de la Dégustation par la Connaissance des Terroirs (Université de Bourgogne)また上記以外にも、ディプロムではありませんが社員教育の一環で、新しい剪定方法やぶどう樹の生理学、土壌の科学などの研修を受けています。

講師からのメッセージ

ぶどう畑の話をもっと聞きたいし話したい生産者さん、インポーターさん、問屋さん、酒屋さん、ソムリエさん、ワイン大好き飲み手さん。ワインに興味を持つ多くの人とぶどう畑の話をもっと聞きたいし話したい。ワインの独自性は、そのぶどうが収穫された畑から来ている。生産者が年間を通して働いているのも、いつもぶどう畑。だから、生産者にワインについて尋ねると、とにかくぶどう畑の話になります。その話を詳しく聞いていくと、そのワインをもっと飲みたくなるし、そのワインを詳細に感じたくなります。そして、感覚器官も脳もそれについくるし、追い越していく。それはそのワインへの欲求であり、そのワインの価値が高まっている状態です。生産者が話すぶどう畑の話を理解するようになれば、一人ひとりの中でワインの価値はもっと高まると私は考えています。生産段階でワインの質に触れることのない(広義な意味での)ソムリエたちは、瓶に詰められたワインの価値を高めることができます。ぶどう畑を歩き、さまざまな観点について適切な尺度で観察し、国や地方、区画ごとに異なるぶどう畑の要素を比較したり、そこで感じた疑問を生産者や専門家に質問してより具体的な答えを理解できるようになることは、瓶に詰められたワインの価値を高めるためのあなたのひとつの有力なスキルになります。そして、ぶどう畑を歩くことは、ワインを飲むのと同じくらい強烈に面白いことです。ぶどう畑からくる世界中のすべてのワインがどれだけ素晴らしいものなのか最終的に飲み込む人々に、伝われ。

開催情報

開催日 平日開始時間 午前 9:00~12:00 午後 13:00~16:00開催場所 シャンボール・ミュジニー村定員 1~4名参加費 1日280€/人、2日連続の受講の場合500€/人主催者 フルニエめぐみ開催日や定員など、調整できる場合があります。お問い合わせページからご相談ください。

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