biocontrôleビオコントロールとは
biocontrôleビオコントロールとは、フランスでの病虫害対策の新しいジャンルです。
SDGsの目指す持続可能な農業へ向けて、化学合成農薬からの移行先の選択肢の1つがbiocontrôleビオコントロールの製品という位置付けです。
2021年時点では、さまざまな農作物のさまざまな病害に対して、おおよそ700種類の製品がbiocontrôleビオコントロールとしてリストアップされています。(主成分は同じでも、各社が各農産物に対して製品を発売しているのでこのような数になっています。)
今のところ、ビオコントロールの製品を使ってぶどうを栽培したからといって、bioのようにワインのラベルに認証マークがつくわけではないのですが、持続可能な農業を目指す大きな流れの中で、ビオコントロールやこれにまつわる言葉が重要なキーワードになる可能性があるので、ここで共有できればと思います。
IFT(対病虫害の農薬頻度指標)とビオコントロール
フランスでは、IFT(Indicateur de Fréquence de Traitements phytosanitaires (対病虫害の農薬頻度指標))によって、1年間にその1haの農地にどれだけ農薬を使用したかを数値化して評価する仕組みがあります。
ビオコントロールの製品を使用すると、IFTのトータル数の後ろにその内どれだけがビオコントロール製品なのかを表示することができます。つまり、その農地に対してビオコントロールの製品を使って持続可能農業に注力しているかが明確化されるということですね。
もちろん、持続可能な農業を実現する手段は多様で、ビオコントロール製品の使用が唯一最良ではありません。様々な規模の生産者、哲学、事情がある中で1つの選択肢となるよう、フランスの国がトライヤルを強くオススメしているところと言っていいでしょう。
biocontrôleビオコントロールの定義は
2014年10月13日の農業・食品・森林の未来に関する法律(Loi n° 2014-1170)によると
ビオコントロール製品は「栽培の障害になるものを統合的に制御するという観点から、自然のメカニズムを利用した薬剤や製品」と説明されています。
またこの省令には、ビオコントロール製品は環境や健康への影響がないこと、活性物質が自然由来であることが基準として記載されています。
具体的には、合成化学農薬のようにもともと自然界にない分子構造をもった物質や、劇物に指定されている水生環境(水生生物およびその生態系)に悪影響を及ぼす危険性がある物質はbiocontrôleビオコントロールのリストに入れないことが大きな特徴です。このことについては次回の記事で詳しく見ていきます。
成分も、作用の仕組みも、自然なのがビオコントロールの特徴
農業や農薬を語る中で、自然という語が出てくることに違和感を感じる方は少なくないと思いますが、フランス語で公式にビオコントロールが説明される時、”natureナチュール”や”naturelナチュレル”という語が頻出します。
ビオコントロールで言うnatureナチュール(自然)とは
・そのものに本来備わっている性質 という意味で使用されていると思われます。
・人間と人間の手の加わったものを除いたこの世のあらゆるもの(例 : 大自然) の意味で捉えると、違和感が出てきますよね。
ですので、ここでは”自然・自然な”という語に置き換えていきますが、”本来備わっている性質”という意味ですのでよろしくーっ。
ビオコントロールの製品は、化学合成農薬と比較すると効き目が弱いのですが、病害虫を0にすることが目的ではなく、うまくコントロールしていけばいいのではないか、という姿勢がおおもとにあります。
自然の仕組みを利用するSDPとは
ビオコントロールの製品が作用する仕組みの中で、”自然”であり、特に注目されるのが、Stimulateur des Défenses des Plantes (SDP)。これらの成分は植物がもとから持っている防御力を刺激するもので、直訳だと植物防御刺激剤という感じでしょうか。
この物質自体に殺菌効果があるのではなく、菌に対する防御システムが植物にもともと備わっていて、それを刺激できる物質だよっ、と言うことですね。
biocontrôleビオコントロールの4つのカテゴリー
肉眼で見えるサイズの生物:
線虫、昆虫、無脊椎動物、脊椎動物など。
微生物:
細菌、酵母、真菌、ウイルスなど。(ウイルスは生物ではないけれど一応ここに入ってますね。)
化学媒介物質:
カイロモンやフェロモンなど。
自然由来の物質(植物・動物・鉱物):
原材料は非常に幅広く、効果のでるメカニズムも多様です。
フランス語としてのbiocontrôleビオコントロール
biocontrôleビオコントロールは、英語のbiological control(生物的防除)をアレンジしたフランス語の新しい言葉です。
3つ目のoの上に^というアクセント記号があり、lの後ろにeが付くところが英語表記と異なる部分です。検索するときなど、気をつけて綴ってみてください。