ピノ・ノワールを観察してみると、複雑に見えていた巻きひげは一つの基本形と、その発展形に分けられることに気がつく。そしてそれらの形はおもしろい法則に従っている。
vrilleヴリーユ(巻きひげ)の基本形。2つの腕がある。
枝から伸びた一本のひげが、途中から二股になっている。ピノ・ノワールの畑では、この形の巻きひげが最も多い。
内側と外側の発見
巻きひげの2本の腕は、1本が枝側(内側)に、もう1本が外側に伸びている。
2つ腕の巻きひげを観察すれば、2本の腕を内側の腕と、外側の腕に分類できるということだ。
それぞれを、bras interneブラ・ザンテルヌ(内側の腕)と、bras externeブラ・ゼクステルヌ(外側の腕)と呼んでいる。
内側と外側の法則
そして、3つ目の腕が生長する場合、必ず外側の腕から生えて、内側(枝側)に向かって伸びる。ここに、vrilleヴリーユ(巻きひげ)が持つ、外側と内側の法則がよくあらわれている。
それは新しい腕は、その生えるベースとなる腕と逆側に向かって生長するというもの。つまり外側の腕から生える新しい腕は内側に、内側の腕から生える新しい腕は外側に生長するということだ。また、次に生える腕は、その直前に生えた腕に生える。
実際のピノ・ノワールを見てみよう。
この枝にはよく生長した2つの巻きひげが見られる。水色の方が腕が2本の基本形の巻きひげ。そして、桃色の方が腕が3本の発展形の巻きひげだ。
もし4本目の腕が生長するならば、この3つ目の腕から生えて、外側に向かって伸びるということだ。(ピノ・ノワールの4本腕の巻きひげはまれだけど)
2つの法則を使って実験
2つの法則に従って5本目の腕まで生やしてみた。5本の腕を持つ巻きひげはあり得ないけどおかげで2つの違いがよくわかる、面白い結果になった。
左は実際の法則。 右側は直前に生えた腕の内側に新しい腕が生える架空の法則。
ぶどう樹は左の例のように生長することによって、より障害物のないところ、そしてより自分の体から遠いところに巻きひげを延ばすことができる。よくできているなぁ。しかも、美しいです。こういう法則の一つ一つが世界を作っているのか・・。
蔓植物の代名詞とも言える巻きひげは、夏に葉や枝とともにいっせいに生長してくると闇雲に伸びているように見えるけれど、そこには明らかな法則があり、戦略的だということがわかった。
そして、たまに鳥の巣を支えていたりする。
うおーー。びっくりしたー。ヒナがいっぱいでぎゅーぎゅーだー。わーっ。