岩のサイクルを俯瞰してみよう
さてさて、最近情報量が混み合ってきましたので、今日はまず、岩のサイクルを大雑把に俯瞰してみようと思います。岩は3種類ありました。火成岩・堆積岩・変成岩ですね。これらの3つの岩と、岩が風化しでできた無機物の粒子、そしてマグマ。この5つの要素が地球上でどんなふうにサイクルしているのか、関係を見ていきましょう。
1つめ。火成岩はマグマが固まってできた岩です。
2つめ。火成岩・堆積岩・変成岩、どの岩も風化すると、大小さまざまな粒子になります。
3つめ。それらの粒子が積もって固まると堆積岩ができます。
4つめ。火成岩や堆積岩に強い熱や圧がかかって変質すると、変成岩ができます。
5つめ。これらの岩が地殻変動で深く沈み込んで、高温高圧で融けた液体がマグマです。そして、いずれこのマグマがまた火成岩になっていく。こんなサイクルになっています。
一方で、岩が風化してできた粒子に4要素が混ざり込んだら土になります。4要素というのは生き物、有機物、水と空気です。
そして、「どの岩がどれくらい風化した粒子なのかで、できあがる土の個性が決まる」というところを、毎回順に見ているところですよね。
堆積岩は、何が積もったのかで4つに分類できる
今日は、堆積岩の回です。堆積岩は積もったものが固まってできた岩ですけど、何が積もったのかで4つに分類することができます。
岩が砕けてできた粒子が堆積した砕屑岩。火山の噴出物が堆積してできた火山砕屑岩。生物の死骸が堆積した生物岩。化学反応とその沈殿物でできた化学的堆積岩です。
そして、積ったものが固まって岩になる作用を続成作用と言います。例えば、積もったものの上からさらに積もってきたものの重さや圧で固まったり、内部で溶けた物質が粒子同士をくっつたけりします。ただ積もっただけじゃなくて、この続成作用が岩にしてるということですね。
ここから今回の本題、砕屑岩に入っていきます。
砕屑(さいせつ)岩は、岩が砕けてできた粒子が堆積してできた岩
漢字でさいせつって、くだけたくずでできた岩って書きます。その屑、つまり粒子ですね。その粒子の元をたどると岩だったんだ、火成岩か、堆積岩か、変成岩のどれかだったということですね。ということは、粒子が再利用されてる、元々岩だったのが風化されて粒子になって積もって固まってもう一回岩になったわけです。
多くの場合、岩が砕けてできた粒子は大量の水によって運ばれる間に、同じ運ばれやすさの粒子が同じ場所に堆積するので、場所ごとに粒子のサイズが揃った岩が出来上がります。
地質学ではその粒子を、サイズによって分類しています。それがどんな成分かではなくて、サイズでの分類ですね。2mm以上の鉱物を礫と呼ぶので、礫が堆積してできた岩を礫岩(れきがん)、2mm以下の鉱物を砂と呼ぶので、砂が堆積した岩を砂岩(さがん)、同様に62.5μ以下の鉱物をシルトと呼ぶので、シルトが堆積した岩はシルト岩、4μ以下の鉱物を粘土と呼ぶので粘土が堆積した岩を粘土岩と呼びます。
シルトと粘土を合わせて泥と呼ぶので、シルトと粘土が混ざって堆積した岩を泥岩(でいがん)と言います。そして、泥岩に強い圧力がかかって層状になって、その層一枚一枚がが剥がれやすくなった岩のことを頁岩(けつがん)、頁岩にさらに熱や圧力がかかると粘板岩(ねんばんがん)に変化していきます。この辺りは変成岩のニュアンスが出てきますよね。
砂岩、泥岩、粘土岩、頁岩・・どれもワインの資料を読んでいると、ぶどう畑の母岩として目にすることがあると思います。こうやって一つずつ砕屑岩の違いを見ていくと、粒子の大きさの違いをイメージしやすいですよね。
粒子が堆積して、岩ができて、風化して、土になるところを妄想
例えば花崗岩が山の上の方で風化されています。川の流れで砕かれて、私たちが石や砂利と呼ぶようなサイズの、礫になっていきます。さらに運ばれるうちにサイズが小さくなって、砂・シルト・粘土になりながら川を下っていきます。
※この図は漏れもダブりもあります。可能性の一部としてご覧ください。
川が海にたどり着くと、水が下る勢いがなくなるので、水が運んでいた粒子が海底に沈んでいきます。砂はより重たいので河口付近で先に沈み、粘土はより軽いので河口から遠いところで沈んでいきます。同じ川が同時に運んできた粒子でも、違う場所に沈んでいくことで、主に砂が堆積した砂岩、主に粘土が堆積した粘土岩ができるし、その間にはシルト岩ができる。
とはいえ、実際には100%選り分けられているわけではなく、砂岩にもシルトや粘土は含まれていて、グラデーションになっています。地質学ではそのグラデーションに線を引いて、この割合で含まれているなら砂岩と呼ぼうと決めているということですね。その説明がこの図です。このように堆積した粒子が、続成作用を受けて岩になりました。そして地殻変動が起きてこれらの水の底にあった砕屑岩が地表に出てきたところをイメージしてみます。
例えば、砂岩。シルトや粘土をあまり含まない砂岩を考えてみましょう。砂岩が雨風にさらされ風化されて、また砂になったよ、と。そこに4要素が混ざると砂質土壌になります。砂岩から砂質土壌ができました。
また、この砂岩が時間をかけて、しかも酸性の環境で風化されることで、砂の一部である長石類が溶けて粘土鉱物に変化していきます。これ、前回やりましたね。長石を構成しているケイ素やアルミニウムが酸で一度バラバラになって、その後粘土鉱物に組み上がっていく。そんな経過を辿ることで、砂が減ってより粘土鉱物の多い砂質土壌になるわけです。なぜなら、これは花崗岩由来の砂岩ですから、石英だけでなく長石類も含んでいるからですね。つまり、同じ砂岩から、ちょっと土性に違いのある土もできうるということです。
こんなふうに、砂岩から砂質土壌、シルト岩からシルト質土壌、粘土岩から粘土質土壌ができあがる。もしその過程でより強い風化を受けると、ものによっては粘土質が多めの土壌にもなりうるということですね。
今日は堆積岩の中の、砕屑岩について見てきました。次回は別の種類の堆積岩も見ていきましょう。
こちらが音声版『宇宙ワイン』です。