では、テロワールということばがもつ、3つの意味をおおまかに挙げていこう。意味が混乱してしまうので、それぞれをterroirテロワール①、terroirテロワール②、terroirテロワール③と書くことにしてみた。そして次回以降で、それぞれをゆっくりみていきたい。
terroirテロワール①は
ぶどう(房や果粒)の質や量に影響しうる、すべての要素をさす。なおかつ、それらの要素と要素の関係性も含む。とにかく最大限に大きな規模でとらえた意味でのぶどう樹が生きる環境、生態系のこと。
terroirテロワール②は
terroirテロワール①をもとに、観念的に純化した意味のterroirテロワール。ワインにその畑の独自性をもたらす、畑の潜在性。
terroirテロワール③は
それぞれの畑のぶどうを由来としたワインに備わり、外観・香り・味わいとして顕在化したその畑の独自性・個性。typicitéティピスィテということばの代りに使われているとも考えられる。
テロワールは唯一無二
どの意味でテロワールということばを使っても共通して言えることは、同じテロワールはこの世にふたつとして存在しないということだ。
だからこそ、”このワインはこの畑のぶどうから造られています”、ということがなにより重要で、エチケットにそのぶどう房を育んだ場所の名前が書かれている。
テロワールということばに込める、みんなの個人的想い それぞれのワイン観
多くのひとが、この3つの異なるテロワールということばを使いながら、それぞれのワイン観の中で、terroirテロワール① ② ③を位置づけている。
つまり、最終的には使う人によって意味は微妙に変わるわけだけれども、それは、どんなことばもきっと同じことだろう。
この3つの違いをよく見極めて、いろいろな人のテロワール観やワイン観をつぶさに感じとりたい。