terroirテロワール①

テロワール①とは

ぶどう房や果粒の質や量に影響しうる、すべての要素をさす。
 なおかつ、それらの要素と要素の関係性も含む。
 とにかく最大限に大きな規模でとらえた意味でのぶどう樹が生きる環境、生態系のこと。

 

これらの要素は、つぎの4つに分類することができる。

土地にかんする要素 標高、表土、母岩、起伏 などなど・・・・
気候にかんする要素 気温、降水量、日照・・・
人間にかんする要素 歴史、品種、価格、仕事は『Vieille Vigneの仕立て方』参照
風景にかんする要素 森、クロ、道路・・・

それぞれの要素とさらに細分化された要素については、次回以降に少しずつ見ていこう。

 

要素と要素の関係性こそが大切

たとえば、気候にかんする要素のひとつ、日照について考えてみよう。
誰かにとっての夕日が、わたしにとっての朝日になる・・ということは、太陽が発したとき光には夕日と朝日の違いはない。

ところが、太陽の光が地球に到着すると、場所ごとに光の質や量に違いが生じる。地球は形が球状で、自転しているから朝夕の移ろいがあって、時刻ごとに光の質に差がうまれる。

山や丘そして小さな起伏などの凸凹があるから、地面の方角や角度によって日当りに差ができる。また、地軸のずれと公転のおかげで日照時間は日々変化し、緯度によってはその積み重ねで四季が生じる。

つまり日照は、太陽と地球の両方があるから成り立つ要素だということがわかる。光源を考えるあまり、太陽ばかり気にしていると、上記のような光の量や質の差について見失ってしまうし、だからといって、地球側のコンディションだけに注目しても、太陽がなければそもそもそも日照はありえない。

そして、日照は光合成のためにぶどう樹に直接かかわるだけでなく、たとえば気温といった、他の多くの要素に深く貢献していく。もちろん、気温もぶどう樹の生長に直接かかわるし、湿度などこれまた多くの要素に深く貢献していく。

 

テロワール①とは環境・生態系のこと

このようにテロワール①の要素に挙げるすべてが、例にあげた日照のように、必ずなにか他の要素との関係の中に生まれている。

むしろ、なにか要素ひとつを取り上げるとき意識したいことは、それがどの要素との間にあって、どんな働きを他の要素にもたらしているのかということだ。

というのも、ぶどう樹は生きているし、ぶどう樹をとりまく環境と一体であり、そして、そのぶどう樹が、環境全体の結果として恵んでくれるのがぶどうだからだ。

とにかく、大きな規模でとらえた意味でのぶどう樹が生きる環境や、生態系をイメージする。その中でぶどう房や果粒の質や量に影響しうる要素をみつけ、それらの関係性をとらえる。そうすれば、ひとつひとつの畑の違いがより明確に浮かびあがってくる。

固定的に要素ひとつひとつがテロワールの要素と考えるよりも、それらの関係性や、関係がうまく働いている動的で有機的な組織、つまり生態系が、このterroirテロワール①だ。

ぶどう畑が、ぶどう房という結果となって現れ、ワインになる。あっちの畑でも、こっちの畑でも、そっちの畑でも。それぞれがぶどうの房という結果となって現れ、ワインになる。そうしてみると、ワインの外観香り味わいがそのテロワールと表裏一体だということが、しみじみと実感できるのではないだろうか。

 

ぶどう樹もテロワール①の要素のひとつに数えられる

一つの要素が強くなると、それにかかわる他の要素が変化する。断片的に見えているその要素の変化の引き金はどこにあるのか探してみる。そしてその後、どこまでその影響が及んでいくのか。

そのメカニズムや、要素の一つであるぶどう樹への影響が、テロワール①を理解するためにはとても重要だ。

なぜなら、人間がぶどう畑やぶどう樹に施す仕事も、テロワール①の要素だからだ。もちろん、他の要素との相互関係がある。おもしろくなってきた。

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