enjambeurオンジャンブーでの農薬散布
トラクターの授業で農薬散布をしているところ。
ぶどう畑で働くトラクターはenjambeurオンジャンブーと呼ばれ、垣根を跨いで進める設計だ(enjamberと綴ると跨ぐという意味の動詞)。
ボーヌの学校内のオンジャンブー練習用のぶどう畑にはぶどう樹は植わっておらず笑、垣根仕立ての基礎の杭だけがうってある。ぶどう樹がないおかげで、トラクター全体と装備の霧吹きがよくみえる。
動画はオンジャンブーの操作の練習なので、農薬ではなく水を撒いているから霧が出ているのがわかりづらいのだけれど、畝に入る前にいったん停車し霧の噴射をスタートさせている。ビデオのなかで運転してるのは同級生のサム。帽子はヤンキース、ニューヨークのソムリエ。
オンジャンブーの前輪と後輪のあいだの白い四角が農薬のタンク。細い管からすこしずつ液体が吸い上げられて、太い管には空気が送りこまれる。
そして7つついたノズルから左右に霧になって噴射される。ぶどう樹は2つのノズルにはさまれて、表からも裏からもこまかい霧状の農薬をうけることができる。
またこのノズルはよく考えられた設計で、ほんのわずかな液体を的確な圧力で吹き飛ばし、上下にもまんべんなく散布することができる。
こちらが実際にbouillie bordelaiseブイィ・ボルドレーズ(ボルドー液)が散布された直後のぶどう樹。ぶどうの葉の表面にみえるこまかい白い点がじょうずに散布できた証拠。
リュックサック型の散布機での農薬散布
雨続きで土壌がぬかるみ、トラクターが畑に入れないけれどもどうしても散布したいばあいは、リュックサック型の散布機をせおって歩きながらおこなうこともできる。
トラクターとおなじ装備をコンパクトにした散布機の、農薬がはいったタンクをせおい、管がつながったノズルを手でもって農薬の霧をまんべんなく散布していく。
この方法であれば、幼いぶどうの苗木にも農薬散布ができる。
植えてから数年以内の苗木は、地表から40センチに満たない高さに葉や枝がありmildiouミルデュー(ベト病)に感染するリスクが高い。そんな低いところにも的確に散布できるのがリュックサック型の散布機のいいところだ。
次回は、その年の1回目の農薬散布をいつにするかというtraitementトレットモン(農薬散布)をおこなううえでもっとも重要な決定、そして2回目以降の農薬散布のタイミングをどのように決めるのかをみていこう。