évasivageエヴァズィヴァージュ(摘芽)は、ぶどう樹の2歳以上の部分から発芽した芽(gourmandグルモン(徒長枝))を摘み取ることだ。
もし理想的な場所にグルモンが発芽していた場合、1芽だけ残しておくことでそのぶどう樹を理想的な高さに保つように展開させていくことができる。
ではcordon doubleコルドン・ドゥーブルの場合、どの位置のgourmandグルモンをのこせば高樹齢であっても40cmのvieille vigneヴィエイユ・ヴィーニュ(ぶどうの古木)を仕立てられるんだろうか。見ていこう。
枝の年齢と名前 cordon doubleコルドン・ドゥーブルの場合
9月に収穫が終わり、葉が落ちた11月、剪定を待つコルドン・ドゥーブルをかいてみた。
4月に発芽した芽が生長期をすごした枝sarmentサルモンを0歳(厳密に言うと0歳7ヶ月)。
そうやって数えると、クロッシェは1歳(1歳7ヶ月)。
それ以外、つまり幹やbrasブラなどの2歳以上部分をvieux boisヴュー・ボワ(vieuxは古い、boisは木という意味)と呼んでいる。
コルドンにはbaguetteバゲットはないから、クロッシェ以外のところから発芽した芽がgourmandグルモン(徒長枝)ということになる。
gourmandグルモン(徒長枝)をcrochet de rappelクロッシェ・ド・ラペルに育てる
上の図のような、クロッシェが4つしかないコルドンにはévasivageエヴァズィヴァージュ(摘芽)のときに、理想的な場所に発芽した1つのgourmandグルモン(徒長枝)をのこしておき、crochet de rappelクロッシェ・ド・ラペルに育てることができる。
2012年5月のévasivageエヴァズィヴァージュ(摘芽)から、2014年4月のattachageアタシャージュ(バゲットの固定)までの流れをみてみよう。
évasivageエヴァズィヴァージュ(摘芽) 2012年5月
上の図のぶどう樹には、vieux boisヴュー・ボワ(2歳以上の部分)から発芽した芽(gourmandグルモン(徒長枝))が7つある。その中から1つを『のこしたい芽』に選んだ理由は、
・その位置が高すぎなく低くすぎないこと
・枝に育ったときに垣根のからとびでない、畝に沿った方向に発芽していること
・幹の中心に位置していること
ここに将来のcrochet de rappelクロッシェ・ド・ラペルを位置させるのだから、慎重に選んでだいじに育てたい。
tailleタイユ(本剪定) 2013年2月
2012年5月のévasivageエヴァズィヴァージュ(摘芽)で選んだ芽は、春夏の生長期をへて立派なグルモン(徒長枝)になった。2芽のこして剪定することで、crochet de rappelクロッシェ・ド・ラペルになる。
brasブラをあたらしくする
死んでしまったcrochetクロッシェや、高くなりすぎたクロッシェをもつbrasブラを新しくする方法を見ておこう
tailleタイユ(本剪定) 2014年2月
まず、古いbrasブラをを切る。幹からあまりに近いところで切り落とすと、生きるべき維管束が乾燥してしまったり、病気の感染のリスクが上がるので、そのブラの直径とおなじ長さの余裕をもって幹から切り離す。
そしてcrochet de rappelクロッシェ・ド・ラペルの2本の枝から、1本のあたらしいbaguetteバゲットと、1つのあたらしいcrochet de rappelクロッシェ・ド・ラペルをつくる。
この図ではクロッシェが死んでしまった場合をかいたけれども、クロッシェが高くなりすぎた場合も行程は同じだ。
attachageアタシャージュ(バゲットの固定)2014年4月
(あたらしいバゲットがどのようにブラへ生長するのか、この後の展開は重複するので、crochet de rappelクロッシェ・ド・ラペルのページで詳しくご覧下さいませ。)
こうしてクロッシェ・ド・ラペルのおかげで、死んでしまったクロッシェや、高くなりすぎたクロッシェをもつブラがあった場所に、あたらしいbrasブラが蘇り、あたらしいcrochetクロッシェが再びぶどう房を恵んでくれるようになる。
そんなcrochet de rappelクロッシェ・ド・ラペルは、évasivageエヴァズィヴァージュ(摘芽)でのこしておいた1つの芽だった。
10歳と70歳のコルドンのぶどう樹がならんで同じ高さの1列の垣根になることができるのは、gourmandグルモン(徒長枝)を発芽できるぶどう樹の生命力と、その芽を理想的な位置だと判断しのこすこの仕事があるからだ。
理想的な位置にあるクロッシェ・ド・ラペルが、コルドンに仕立てられたvieille vigneヴィエイユ・ヴィーニュ(古木)にとっての若さであると言える。