26. attachageアタシャージュ(baguetteバゲットの固定)

attachageアタシャージュとは

tailleタイユ(本剪定)でguyot simpleギュイヨ・サンプルにつくった新しいbaguetteバゲットを水平に寝かせ、高さ40cmに張ってある針金fil de tailleフィル・ド・タイユに固定すること。

このアタシャージュを安心して行うために、réparationレパラスィオン(垣根の基礎の修繕)でfilフィル(針金)を万全にしておいたわけだ。

剪定後、バゲット固定前のguyot simpleギュイヨ・サンプルのぶどう樹

 

バゲット固定後のguyot simpleギュイヨ・サンプルのぶどう樹

baguetteバゲットを針金にしっかり巻き付け、端を紐で固定する。

アタシャージュの道具

 

麻の糸と細い針金が縒ってある紐(左) その紐をねじって固定しカットできる1人2役の道具(右)

アタシャージュ用の道具には、ほかにもアルミやステンレスのホックをホッチキスのように留められるものもある。数千本、数万本ものバゲットを固定しなければいけないのだから、効率のいい道具がえらばれている。

でもいちばん速いのは手で紐を巻きつける方法だと言うのはべてらん勢。そもそもアタシャージュには、水辺に生えるjoncジョンという草(イグサの仲間)の茎を、干してちょうどいい長さに切ってつかっていたとのこと。

 

引っ張ってみればと言われて、2本の針金を結んであるところを引き離そうとしたのだけどびくともしなかった。

アタシャージュのねらい

baguetteバゲットを水平に寝かせることでacrotonieアクロトニーによる芽の生長の差が抑えられ、バゲット上にあるすべての芽が均等に生長するようになると考えられている。

バゲットの先端にある芽が第1優先のままでは、その芽が枝になったときの太さ、葉の数や大きさ、開花や結実、ぶどうの質までも影響する。

こちらの畑はアタシャージュが済んでしばらく経っているようだ。ところが、1本だけ忘れられている樹(写真中央)がある。

よく見てみるとこの樹のバゲットの芽は先端にいくほどよく発芽し、よく生長している。対して、アタシャージュしてある樹の芽の大きさはほぼ揃っている。

アタシャージュのタイミング

剪定が終わったからと言ってattachageアタシャージュ(バゲットの固定)をすぐはじめてしまうと、もしまた厳しい寒さが戻ってきたときに、曲げた部分からbaguetteバゲットが折れてしまう危険性がある。

また、気温が低すぎるなかattachageアタシャージュ(バゲットの固定)すると強ばったバゲットが折れてしまうことがある。完全に折れてしまえば、そのバゲットからの収穫はもちろん望めない。

アタシャージュに最適なタイミングは雨が上がった後や、暖かさで樹液が上ってきたおかげでバゲットが柔らかくなった頃だ。

だからと言って出遅れて、春になってしまい発芽が始まっているとfilフィル(針金)にわずかに触れただけでも芽は落ちてしまう。attachageアタシャージュ(バゲットの固定)は冬と春の間にある不思議な季節におこなわなければならない。

 

guyot simpleギュイヨ・サンプルの畑は、すべての樹をattachageアタシャージュ(バゲットの固定)しなければいけない。一方cordonコルドンの畑では、新しいバゲットをつくった樹だけでいいし、gobeletゴブレの畑にはバゲットは存在しないから次の仕事に進めるのでかなり時間の節約になる。

 

こちらは新しいバゲットをつくったcordon doubleコルドン・ドゥーブル
次の剪定でつくる2つのcrochetクロッシェのための枝が垂直に発芽するよう、バゲットについている芽の方向を見てattachageアタシャージュ(バゲットの固定)した。

左側がアタシャージュが済んだ新しいバゲット、右側はbrasブラ。ブラは数年前にアタシャージュされたバゲットだったんだよなぁ。こぉんなに立派になってぇ・・。

発芽の時期は年によって数週間もの差があり、早期の発芽後、もし安定した高い気温がつづけば、ぶどう樹の生長の速さに仕事が追いつかなくなってしまう。attachageアタシャージュ(バゲットの固定)を正確に手早く済ませられると、そんな年にも余裕を持ってその後の仕事ができる。