コート・ド・ニュイではだんだん見かけることが少なくなってきたgobeletゴブレ仕立て。
若い樹がゴブレとして仕立て始められることはなくなったけど、いくつかの区画ではゴブレ仕立てのvieille vigneヴィエイユ・ヴィーニュ(古木)がまだまだ現役で存在している。
ゴブレとはもともとコップという意味
根元からじょじょにに上に向かって広がる樹の形が似ているから、こう呼ばれるようになった。
でもコート・ド・ニュイのゴブレはbrasブラの数が少なく、垣根仕立てにされているので、本場にくらべると平面的でやさしい迫力。
またコート・ド・ニュイの多くの畑では、垣根のはじめの1本目の樹が杭に立て掛けるように、小さなゴブレ仕立てになっている。
gobeletゴブレのルール
3つbrasをもつゴブレ。落葉後をかいてみた。
・旧crochetクロッシェから発芽した2本の枝から、新しいクロッシェを1つつくる。この枝の選び方はcordonコルドンのときと同じ。
小さなゴブレ
こちらは垣根の両端の杭の外側に植えられている小さなゴブレ。畝のはじめの1本目だから、トラクターや馬が畝に入るときに引っ掛からないようbrasブラは短く、なるべくまっすぐ上に生長するように2つだけクロッシェをつくる。
なぜゴブレ仕立てが減ってきたのか
コート・ド・ニュイの主なぶどう品種であるpinot noirピノ・ノワールにとっては、ほかの仕立て方よりもゴブレ仕立てへの適性が低いからだ。
ピノ・ノワールのように樹勢が低く、幹から新しい芽(徒長枝)が生えてきにくい品種はgobeletゴブレ仕立てには向かない。
たとえば、1つのクロッシェが何らかの理由で発芽せず枝をもたなかったとする。
コルドン仕立ての場合だったら、crochet de rappelクロッシェ・ド・ラペルから新しいバゲットを貰ってきてブラを復活させることができる。つまりコルドンは1つのクロッシェから、2年後の剪定時に3つのクロッシェをつくれる。
それに比べてゴブレ仕立ての場合、1つのクロッシェはクロッシェ・ド・ラペルになることはなく、いつまでも1つのクロッシェのままなのだ。
仮にこの旧クロッシェから、むりやり新しい2つのクロッシェをつくったとする。
でもこの方法でクロッシェを増やすと、樹は下の写真のように幹が高くなるばかりになってしまう。
ぶどう樹の生理や解剖がよく知られるようになるにつれ、品種の特性に合い、収穫量を調節でき、樹体の生長を抑えながら、健康に年を重ねられるような新しい剪定方法に移行している。