27. débuttageデビュタージュ(畝崩し)

débuttageデビュタージュとは

厳しい寒さがくる前にbuttageビュタージュ(土寄せ)でぶどう樹の根元にかぶせた土を、寒さがすぎた後もとに戻す耕起のこと

冬の寒さによって硬くなった土に、空気を入れてよく解して畑を均していく。同時にビュタージュ(土寄せ)後に撒かれたコンポストや肥料を土に混ぜることもできるし、はえたての雑草の根を切ることもできる。除草剤を使わない畑は、この段階で少しでも雑草の根を捥いでおきたい。

つまりdébuttageデビュタージュ(畝崩し)は、buttageビュタージュ(土寄せ)と合わせて一対になる耕起で、ビュタージュは冬のはじめ、デビュタージュは冬の終わり、厳寒期を挟むように行われるということだ。

トラクターをつかったデビュタージュ

一般的にデビュタージュはenjambeurアンジャンブー(ぶどう樹の垣根の列を跨ぐトラクター)の装備を取り替えて2回耕作することで完了する。

1度目は、griffageグリファージュ(表土をひっかく耕作)。この装備には、たくさんの爪が付いている。

この爪を土に沈めて、←こっちに進んでいくと土がほぐれる。畝と畝の間の比較的土壌の浅い部分にほどこす耕作だ。

こちらは車両の後ろ側。この爪も畑に入るときに下ろす。

2度目は、intercepアンテルセップ(垣根の列の隣同士に並ぶ樹と樹の間の耕作)

→こっちに進む。
1つ目の犂の直後にある細い棒が、いわばセンサーのように働く。トラクターが進むことで、ぶどう樹に触っていたこの棒が樹から外れると、鎌状の器具が水平に振れて、畝に並ぶぶどう樹とぶどう樹の間の土を耕す仕組みになっている。

そして、その掻き出された土は、後ろにあるもう一つの犂によって均される。ぶどう樹を傷つけずに、樹の際ぎりぎりまで耕作できるよう工夫された設計だ。動き出すと見ていて飽きないおもしろさがある。

人、牛や馬の力だけで行ってきたころと比べて、トラクターは畑の仕事をとても楽にしてくれている。けれども誰が乗ってもおなじような質の仕事ができるわけではないのも事実だ。

たとえば、平らなぶどう畑が続くことはかなり稀で、小さな起伏や、左右での高低差などがあるから、高い精度の耕作をするためには目視だけでは気づかない違いを感じ取って、装備の位置の微調整をし続けなければいけない。

ずっとシートに座っていられるわけではなく、トラクターを降りては畑の状態に合わせて調整。メカニック好きはブツブツ言いながらも楽しそうに運転する。

débuttageデビュタージュが済んだChambolle-Musigny 1er cru “Derrière la Grange”
シャンボール・ミュジニー 1級畑 “デリエール・ラ・グランジュ”

この区画はこの写真で言うと、縦軸には緩やかに上って下っていて、横軸には左に向かって緩やかに上っている。なおかつそこへ、いくつも小さな起伏が重なっている。