évasivageエヴァズィヴァージュは、ぶどう樹の2歳以上の部分から発芽した芽の中から、必要な芽をのこして芽を摘むことだ。
別の言い方をすると、crochetクロッシェとbaguetteバゲット以外の場所に発芽した芽の中から、必要な芽をのこして芽を摘むこと、とも言える。
では、ぶどう樹のクロッシェとバゲット以外の部分をみてみよう。
枝の年齢と名前 guyot simpleギュイヨ・サンプルの場合
9月に収穫が終わり、葉が落ちた11月、剪定を待つぶどう樹をかいてみた。
4月に発芽した芽が生長期をすごした枝sarmentサルモンを0歳(厳密に言うと0歳7ヶ月)。
そうやって数えると、クロッシェとバゲットは1歳(1歳7ヶ月)。
それ以外、つまり幹やbrasブラなどの2歳以上部分をvieux boisヴュー・ボワ(vieuxは古い、boisは木という意味)と呼んでいる。幹の年齢はこのぶどう樹の樹齢と同じということになる。
gourmandグルモン(徒長枝)になる芽を摘む仕事がエヴァズィヴァージュ
さて下の写真は、剪定がすんで4月を迎えたぶどう樹。
0歳だったsarmentsサルモンは、剪定によってクロッシェとバゲットになり年齢もちょうど1歳になったところだ。
vieux boisヴュー・ボワであるtroncトロン(幹)から芽が2つ発芽している。
こんなふうにvieux boisヴュー・ボワから直接発芽し、生長した枝をgourmandグルモン(徒長枝)と呼ぶ。
この芽が生長し立派な枝になったとしても、ぶどう房をつけるのは非常に稀だ。
しかもぶどう房をもつ今年のsarmentsサルモン(新梢)の生長のための栄養をよこどりしてグルモン(徒長枝)は勢いよく生長する から、まだ芽が小さいうちに摘んでおくわけだ。
そもそもgourmandグルモンとは食いしん坊という意味ではないか( ´◔‸◔`)。目の敵のように摘み取られていくからさ、なんか批判されてる感じがしてどきどきするよね・・
必要なgourmandグルモン
évasivageエヴァズィヴァージュは、発芽したグルモン(徒長枝)の芽を摘む仕事なわけだけれども、すべての芽を摘むわけではない。
もし理想的な場所に発芽していれば、1本の樹に1芽だけのこされる。では必要なグルモンはどこに発芽し、どんな役割があるんだろうか。
実はこの時にのこされるグルモンの芽こそが、ぶどう樹を低く保ちつづけるための要。1本のぶどう樹にとっての”若さ”そのものとも言える重要な枝になるのだ。
ぶどう樹を低く保ちつづけるための要
ぶどう樹の幹は高く生長させてはいけない。高さ40cmに張ったfil de tailleフィル・ド・タイユにバゲットをattachageアタシャージュ(固定)できなくなるからだ。
今日のブルゴーニュのように一定の高さの針金にバゲットを固定して発芽させ、同じ高さで摘心する垣根仕立ての場合、ぶどう樹の幹が高くなりすぎることは致命的だ。
でもギュイヨ・サンプルの剪定では、毎年、旧クロッシェにあたらしいクロッシェとバゲットをつくるがゆえに、どうしても毎年少しずつ幹の背が高くなってしまうのは避けられない。
上の写真のようにcordon de royatコルドン・ド・ロワイヤも同様に、毎年の剪定で旧クロッシェにあたらしいクロッシェをつくるから、bras(ブラ)の高さからどんどんクロッシェが上っていってしまう。
ところが70年をこえる樹齢のvieille vigneヴィエイユ・ヴィーニュ(古木)であっても、高さ40cmのfil de tailleフィル・ド・タイユにしっかりバゲットをattachageアタシャージュ(固定)可能な高さをたもつことができる。
コルドン仕立ての場合も同様だ。春のエヴァズィヴァージュ(摘芽)と冬の剪定が組合わさることによって、10歳と70歳のぶどう樹が同じ高さの1列の垣根になることだってできるというわけ。
どのグルモンをのこせば樹齢70年で幹の高さ40cmのヴィエイユ・ヴィーニュ(古木)が実現できるのか、例によって剪定方法によって選び方がちがうのでひとつづつ見ていこう。