分点月のサイクル

ビオディナミ農法で見る月の5サイクルの2つ目は、分点月(ぶんてんげつ)のサイクルです。分点月、つまり月の上昇と下降の話です。

前回は、朔望月(さくぼうげつ)のサイクルでしたね。

分点月(ぶんてんげつ)は、月の上昇と下降の話

分点月の1サイクルは、月が春分点を通過してから次に春分点を通過するまでで、27日7時間43分4.7秒かかります。

その春分点って何かと、月の上昇と下降のしくみは後半で見ていくとして、
まずは月の上昇と下降が、空でどのように見えるのかをおさえておきましょう。

その前に、前提として。
月の上昇と下降のサイクルに、月の満ち欠けは無関係です

なぜなら、分点月のサイクルは約27日なのに対して、朔望月のサイクルは約29日なので、どんどんずれていくからです。

つまり、上昇期に満月になることもあれば、下降期に満月になることもある。どんな組み合わせもありうるんですね

だから、今回の月はすべて満月で描いていますーー。

月の上昇期と下降期とは

月の上昇期は、月の通過する位置が約2週間かけて最低から最高へ変化します。

月の下降期は、月の通過する位置が約2週間かけて最高から最低へ変化します。

ビオディナミでは、上昇期と下降期のどちらの期間中なのかが重要視されます。

月の上昇期と下降期を見分ける

上昇月の見分け方
観測者の視点を固定し、目印の上を月が昨日よりも高いところを通っている場合、月が上昇期にあると言えます。

下降月の見分け方
観測者の視点を固定し、目印の上を月が昨日よりも低いところを通っている場合、月が下降期にあると言えます。

 

地球の地軸の傾きと月の上昇と下降

月が上昇したり下降したりする原理は、太陽が夏至と冬至を作る原理と同じです。夏至と冬至は、地球の地軸が傾いているために生じるんですよね。

ただ、太陽と月の違う部分は、地球を観測点とした時、太陽がおよそ365日かけて地球の周りを1周するので、(もちろん客観的には地球が太陽の周りを回っているわけですが)太陽は1年かけて上昇して下降するのに比べて、

月はおよそ27日で地球の周りを1周するため、たった27日で上昇して下降するわけなんですね。

 

春分点とは何か

まずは天球を見ておきましょう。
天球とは、観測点である地球を中心とした球面です。全ての天体が天球上にあると見なすことで、天体までの距離を無視して、天体の動きや位置関係に注目することができます。天体観測をしやすくするために考えだされた球なので、天球そのものが実際に宇宙にあるわけではありません。観念的な存在です。

そして、天球上には、天の赤道と黄道があります。

天の赤道とは、地球の赤道面を天球にまで延長し、天球上に交わってできる円のこと。
黄道とは、天球上での太陽の通り道(円)のこと。

これら、天の赤道と黄道は、天球上の2点で交わっています。

その2点のうち、黄道が天の赤道を南から北へ交わる点のことを、春分点と言います。また、黄道が天の赤道を北から南へ交わる点が、秋分点です。

そして、春分点を太陽が通過する瞬間が春分です。春分の瞬間がある日を、春分の日としています。春分の日は誤差(15分程度)はあるものの、「昼と夜の長さが同じ日」として知られていますよね。

 

月の上昇と下降の仕組み

天球上の、経度に当たるのが黄経です。
黄経は春分点を0度として、夏至点は黄経90度、秋分点は黄経180度、冬至点は黄経270度となります

いっぽう、白道は、天球上の月の通り道です。
天球上の太陽の通り道である黄道に対して、白道は約5.09度傾いています。

天球上の月の通り道である白道を、月が黄経270度から黄経90度へ移動する期間が、月の上昇期です。それが太陽であれば、南中点がどんどん高くなって、どんどん日が伸びていく期間ですよね。そのため、フランスでは月の上昇期のことを”月の春“と呼びます。

逆に、月の下降期は、月が白道上を黄経90度から黄経270度へ移動する期間のことです。太陽であれば、南中点がどんどん低くなって、どんどん日が短くなっていく期間です。フランスでは、月の下降期のことを”月の秋“と呼びます。

月が上昇したり下降したりする原理は、太陽が夏至と冬至を作る原理と同じですから、北半球の月の上昇期は南半球での下降期になるのも同様です。

 

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