51. rognageロニャージュ(摘芯)とぶどう樹の生長

1本のぶどう樹は、春から夏の生長期に100をかるく超える数の芽をもっていて、それらはいくつかに分類することができる。

rognageロニャージュ(摘芯)は、その中でも性質が異なる2種類の芽の特徴を踏まえた仕事だ。

この2種類の芽の性質のおかげで、rognageロニャージュ(摘芯)をきっかけに、ぶどう樹の生長はガラリとかわる。

まずは2種類の芽がどこにあるか見てみよう

 

芽その1は、bourgeon terminalブルジョン・テルミナル(頂芽)。sarmentサルモン(新梢)の先端にたった1つある芽で、幾枚かの極小さな葉におおわれている。上の写真では橙色で囲ってある。rognageロニャージュ(摘芯)では、この芽を切り落とす。

芽その2は、bourgeon axillaireブルジョン・ナクスィレル(腋芽)。サルモン(新梢)のわきにある芽で、上の写真では黄緑色で囲ってある。

2種類の芽の関係

ブルジョン・テルミナル(頂芽・橙色の丸)が発芽することによって、新しい節と、あたらしい葉と、あたらしいブルジョン・テルミナル(頂芽)と、あたらしいブルジョン・ナクスィレル(腋芽)と、あたらしい茎ができる。

あたらしいブルジョン・テルミナル(頂芽・橙色の丸)が生長すると発芽し、さらにあたらしい節と、あたらしい葉と、あたらしいブルジョン・テルミナル(頂芽)と、あたらしいブルジョン・ナクスィレル(腋芽)と、あたらしい茎ができる。

またそのあたらしいブルジョン・テルミナル(頂芽)が発芽し、さらにさらにあたらしい葉と、あたらしいブルジョン・テルミナル(頂芽)と、あたらしいブルジョン・ナクスィレル(腋芽)と、あたらしい茎ができる・・・寒くなるまで繰り返しだ。

このように、サルモン(新梢)が垂直方向の生長を続ければつづけるほど、節もブルジョン・ナクスィレル(腋芽)も葉も数がふえることになる

実際のサルモン(新梢)の生長では、葉と葉のあいだの茎の距離もしだいに長くなるので、サルモン(新梢)の全長の生長はこの図よりももっと速い。

この増加を止め、そのぶんの栄養分をぶどう房へまわすために、ロニャージュ(摘芯)をおこなうと前ページでみたところだった。

relevageフルヴァージュ(新梢の誘導)とaccolageアコラージュ(新梢の固定)がされずに、1本だけロニャージュ(摘芯)をまぬがれたサルモン(新梢)をみつけた。

優に3mをこえている。剪定のときに発見したので、すでに落葉してしまっているけれど、数十枚の葉があったことは確かだ。

これだけしっかりとした太さのサルモン(新梢)をたった数ヶ月で生長させるぶどう樹ってすごい。ちなみにこのロニャージュ(摘芯)されるはずだった部分には、ぶどう房はつかない。そのことについては、またPinotNoir図鑑でみていこう。

ブルジョン・テルミナル(頂芽)を失ったサルモン(新梢)の生長

では、rognageロニャージュ(摘芯)によって先端の芽、bourgeon terminalブルジョン・テルミナル(頂芽)を失うと、sarmentサルモン(新梢)はぶどう房の生長と成熟に徹するのだろうか?いや、まだあらたな展開がある。

なんと、このタイミングでbourgeon axillaireブルジョン・ナクスィレル(腋芽)が発芽をはじめる。ブルジョン・テルミナル(頂芽)がなくなることで、ブルジョン・ナクスィレル(腋芽)が発芽するのだ。次回へ。