発芽してまもなく花の蕾の房が見えはじめる、ちょうどその頃にébourgeonnageエブルジョナージュ(摘芽)をはじめて、なるべく早く終わらせたい。
エブルジョナージュをなるべくはやく終わらせたい理由
というのもこの時期、気温が高ければ発芽した芽はどんどん生長する。葉を増やし、背を伸ばしながら、葉を大きくしていく。芽は枝になるのだ。
発芽したばかりの頃は葉はとても小さく、自分でも光合成するけれど、自分でつくり出す糖分よりも、もらう糖分の方が多い。面積を広げたくさん光合成できる成熟した葉に生長するためだ。
![摘んだ芽のピノ・ノワールの葉。おやゆびの爪と同じくらいの大きさ。](http://vieillevigne.net/wp-content/uploads/2020/10/moment-ebourgeonnage.jpg)
摘んだ芽の葉。おやゆびの爪と同じくらいの大きさ。
じゅうぶん大きな葉になれば糖分を大量に消費する生長をとめ、活発な光合成でつくった糖分を若い器官のために送りだす。
![大きくなったピノ・ノワールの葉。てのひらを隠すまでになる。](http://vieillevigne.net/wp-content/uploads/2020/10/moment-ebourgeonnage-feuille.jpg)
大きくなった葉。てのひらを隠すまでになる。
春、発芽がはじまったばかりで成熟した葉がないころは、樹が前年までに蓄えていたでんぷんを分解しながら生長していく。
ということは、芽がなるべく小さいうちにébourgeonnageエブルジョナージュ(摘芽)をすませられれば、多くの糖分を樹に保っておけるということだ。
エブルジョナージュの開始を待たなければいけない理由
だからといって、発芽したらなるべくはやくébourgeonnageエブルジョナージュ(摘芽)を始められるかといえばそうではない。
花が受粉し結実してぶどうの果粒になるから、ébourgeonnageエブルジョナージュ(摘芽)でのこす芽の中に花の蕾の房があるかどうかは、その年の収穫量に直接関係する。
とくにピノ・ノワールという品種は、1本の枝(つまりこの時点での1つの芽)になるぶどう房の数がすくなく、0の場合もあるという特徴がある。
![pinot noirピノ・ノワールの花の蕾の房](http://vieillevigne.net/wp-content/uploads/2020/10/ebourgeonnage-grappes-visibles.jpg)
pinot noirピノ・ノワールの花の蕾の房
だから、花の蕾の房がその芽の中にあるかどうかが確認できるまで、その芽の生長を待つ必要がある。
また、この仕事の後に霜の被害があった場合、すでに芽が減らされている上に被害がでるわけだから収穫量が激減する可能性もある。それでも、こうしてぶどう房の品質が優先される。