それでは、実際に剪定してみよう。せっかくなので、前回見た写真の若いぶどう樹をguyot poussardギュイヨ・プーサールに仕立てよう。
2017年秋、落葉後。
枝の年齢と名称
春にcrochetクロッシェから発芽した芽が生長した枝sarmentサルモン(新梢)を0歳、そうやって数えると、クロッシェは1歳。
それ以外(troncトロン(幹)、brasブラ(腕という意味)など)の2歳~その樹の樹齢の部分はvieux boisヴュー・ボワ(vieuxは古い、boisは木という意味)と呼ばれる。
これらの名称はギュイヨ・サンプルやコルドンの枝と同じだ。
剪定のためにさらにぶどう樹の観察を進める
左側には4本ものsarmentサルモン(新梢)がある。前年の剪定で、左側のクロッシェに4芽も残していたからだ。例外的な大クロッシェ。
ということは前のページで見たとおり、今年は左側のブラのほうが右側のブラよりもおおく樹液をとおしたので、左側の管の生長が促されていたと判断する。
だから今回の剪定では、右側の管を優先的に太らせる方針となる。枝ぶりを見ると、バゲットをつくるのに申し分なさそうな太さだ。この樹にとって初めてギュイヨ・プーサールに仕立てることができそう。
今回の剪定では
・右側のブラにバゲット1本と、petit crochetプティ・クロッシェ1つ
・左側のブラにクロッシェ1つ
をつくる。
枝が伸びる方向と芽の位置
新しいクロッシェをつくるためのサルモンの選び方は
・旧クロッシェからぶどう樹の外側に向かって伸びているサルモンがよい
・新クロッシェにするつもりのサルモンの最初の芽が外側に位置していること
2回の剪定と2年間の生長を追いかけてみよう
剪定 2018年3月 上記の観察方法とルールに従って残す芽を決めて枝を切る
そして、brûlageブリュラージュ(切り落とされた枝を集めて燃やす)後。
2018年春直前。
気温が上がる前に、attachageアタシャージュ(baguetteバゲットの固定)。
春、発芽してきたところで、ébourgeonnageエブルジョナージュ(摘芽)
petit crochetプティ・クロッシェの2つの芽を両方のこしてしまうと、サルモン(新梢)の密度か高くなりすぎる。すると、葉が茂りすぎて日光や風が充分に届かない状況になってしまう。
そもそもpetit crochetプティ・クロッシェは、翌年のクロッシェになるサルモン(新梢)を恵んでもらうためにつくるので、ébourgeonnageエブルジョナージュ(摘芽)では、なるべく低い位置にある外側の芽をのこすことが大切だ。
さてさて早いもので、前回のタイユ(冬の本剪定)から1年がたった。
2018年秋。落葉後の様子を見てみよう。
今回の剪定では、左側の管を太らせる番だ。となると、
・左側のブラにバゲット1本と、プティ・クロッシェ1つ
・右側のブラにクロッシェ1つ
をつくる。
これでギュイヨ・プーサール仕立ての最大の特徴である1年毎のクロッシェとバゲットの位置の交換が実現する。
前回と同じように、新しいクロッシェになる最適なサルモンを選ぶために、枝の伸びている方向や芽の位置を確認し、切る場所を決める。
brûlageブリュラージュ(切り落とされた枝を集めて燃やす)と
2019年春直前 attachageアタシャージュ(baguetteバゲットの固定)をすませる。
発芽してきたところで、ébourgeonnageエブルジョナージュ(摘芽)。
2019年秋 落葉後。
さて、今回の剪定では、右側の管を太らせる番だ。
このように毎年の剪定でクロッシェとバゲットの位置の交換をする。